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碓井静照先生による「加藤友三郎子爵」の顕彰について

はじめに

碓井静照先生(1937-2012) は、広島で被爆された経験を原点に、地域医療と平和医療に生涯を捧げられた医師です。広島市・広島県医師会会長、日本警察医会副会長など多方面で活躍され、被爆者医療や在外支援など、国内外で高い評価を受けました。

加藤友三郎子爵の生涯と功績

加藤友三郎(1861-1923) は、広島藩士の家に生まれ、海軍軍人から内閣総理大臣にまで上りつめた人物です。特に、ワシントン軍縮会議において日本の全権として軍縮に尽力した平和主義の政治家であり、近代日本における重要な存在として知られています。

碓井先生による顕彰活動

碓井先生は、広島の地に生まれ育ち、医師として地域に尽くされるなかで、加藤友三郎子爵の生涯と功績にも深い敬意を寄せておられました。講演や文献、教育の現場などを通じて、加藤子爵の存在を市民や若い世代に紹介され、「平和の志を現代に引き継ぐべき存在」として再評価を促しました。

「復元」という意義

歴史の中で忘れられつつあった広島出身の偉人・加藤友三郎子爵を、碓井先生は現代の私たちの前に「復元」されましたこれは銅像や建物の修復という意味ではなく、「記霞゜」「志」「誇り」を社会に取り戻すという、精神的文化的な復元であったと言えます。

現代へのメッセージ

碓井先生が顕彰されたように、地域に誇りを持ち、平和と責任ある医療を未来へつなげていくことが、私たちにできる「復元」の一歩です。歴史と向き合い、いのちと向き合う姿勢を、私たちも受け継いでまいりましょう。

毛利元就•宮島と碓井静照先生

碓井静照先生 (1937-2012) は、医師としてのご活躍に加えて、歴史・文化にも深い造詣をお持ちでした。地元広島の歴史的人物や文化資産についても多数の著作を残されています。

■毛利元就と碓井静照先生
碓井先生は、広島が誇る戦国大名・毛利元就についての評伝『毛利元就考—毛利一族の死にせまる』 (1996年)を発表されました。この著作では、毛利元就の生涯や戦略、さらには毛利一族の健康や死因に至るまで、医師としての視点を交えて考察されています。

この著作は、地元の歴史を医学的・人間的視点から読み解く試みであり、元就公の再評価にも貢献するものでした。

■宮島と碓井静照先生
碓井先生はまた、『みやじま物語』 (2004年)を通じて、世界文化遺産である厳島神社と宮島の歴史・文化を多くの人々に紹介されました。

この著作では、宮島の自然景観、信仰、建築、そして地域に根ざす人々の営みをやさしく丁寧に描き、観光や郷土教育の面でも大きな役割を果たしました。

■地域へのまなざし
碓井先生は、医療者としてだけでなく、広島の歴史や文化を未来に伝える語り部としても、多くの功績を遺されました。毛利元就公や宮島といった地元の象徴を、わかりやすく後世に伝えることは、まさに文化の 「復元」と言えるでしょう。

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